参考画像(kinarino-mall.jp)
この後ろ姿に、見覚えのある方も多いかもしれません。革靴の周りをぐるっと囲んだ黄色いステッチ。半透明で厚みのある靴底。ポテッとしたシルエット…
見覚えのない方は、大学だったりお出かけ先だったりで、少し探してみてください。都会の繁華街なんかだったら、「探そう」と思ったその瞬間に見つかるかもしれません。
そう言いたくなるくらいに、誰もがこぞって履く、この革靴。そう。ドクター・マーチンです。
項目別に読む
大学生のド定番。ドクター・マーチンの3ホール
「大学生 & 革靴」「私服 & 革靴 & ブランド」といったキーワードでGoogle検索をかけてみて、この靴に出会わなかったら、あなたのパソコンやスマホは、ウイルスに感染しているかもしれません。笑
それくらいのド定番。とりわけ、大学や若い人が多い場所を訪れて、ドクターマーチンを見かけない日はありません。「量産型」という特徴づけを受けることも多くなってきました。
量産型大学生がダサいのかダサくないのかは置いておいて、オシャレな人がこぞってドクターマーチンを履いていることだけは、絶対の事実です。
「他の人とかぶるのはイヤ!」という方は、ドクターマーチンだけは絶対に避けておくべき。
ただ、避けようと思われた方も、これだけは覚えておいてください。誰もがこぞってドクターマーチンを履くのには、ちゃんとした理由があります。
「3ホール」って?
参考画像(drmartens.com)
ただその前に、さらっとおさらいしましょう。「3ホール」って?
「ホール」というのは、靴紐を通す穴のこと。画像を見てもらえればわかると思いますが、この靴だと、穴が三つ並んでいますよね。型番は「1461」という番号ですが、このような短靴タイプが「3ホール」。
参考画像(drmartens.com)
同じドクターマーチンでも、こちらは背の高いブーツタイプ。型番は「1460」。
こちらはもっとたくさんの穴がありますね。数えてみると8つ。なのでこのブーツは「8ホール」と呼ばれます。
8ホールも、男女問わず大人気です。ただ最近は、3ホールの方がよく見かける気がします。8ホールブーツは暑い季節には履きづらいのに比べて、3ホールの短靴なら季節を問わずに履けるからでしょうね。
ドクター・マーチンの3ホール、何が良いのか
参考画像(zozo.jp)
では改めて、この3ホール、何が良いんでしょうか。
「シンプル」と「主張が強い」との絶妙なバランス
まず第一は、やっぱりそのデザイン。
先の尖っていない、ポテッとしたシルエットに、良くも悪くも飾りっ気のないシンプルさ。
靴だけでなく、他のアイテムまで合わせた全体的なことを考えるとき、「単体のアイテムが悪目立ちしないか」を気にするのはとても重要なことですが、ドクターマーチンの3ホールは、そのシンプルさゆえに、悪目立ちすることがまずありません。
それだけに、どのような格好でも、気軽に履けるという特徴も見過ごせません。
でも、それ以上に注目すべきなのは(そしていろいろな記事を読んでみても、あんまり書かれていないのは)、この3ホールが意外に主張が強いということでしょう。実際、「見たことある!」という方が多いというのも、印象に残るだけの強い主張があるから、なんですね。
かといって、靴そのものを見てみたら、意外なまでにシンプル。黄色いステッチが特徴的ではありますが、悪目立ちするほどではありません。
この、シンプルさと主張の強さとの絶妙なバランスこそが、ドクターマーチンの3ホールが持つ、デザインの特徴と言えます。
革靴とは思えない履き心地
参考画像(kinarino-mall.jp)
もう一つは、その履き心地の良さでしょう。
「バウンシング・ソール」や「エアクッション・ソール」と呼ばれる、柔軟性のある、文字通りクッション性に優れたソールを採用したことで、驚きの履き心地を実現しました。そのソールの開発者こそが、ドイツのクラウス・マルテンス博士[1]。このソールは、特許技術にもなっています[2]。
[1]ドクター・マーチン(=Dr.Martens)は英語読みですが、ドイツ語読み(ほとんどローマ字読みと同じ)では「マルテンス」となりますよね。
[2]情報は、ドクターマーチン公式サイト:ブランドヒストリーから。
また、クッション性を高めるために、ソールに厚みがあるのも注目すべきポイント。1cmでも身長を高く見せたいし、脚を長く見せたい方に、嬉しい副産物です。
驚くべき耐久性と、それゆえのコスパ
参考画像(tumblr.com)
さらにドクターマーチンは、(3ホールでもそれ以外でも)驚くほどの耐久性を持っています。
筆者も、7年前に3ホールを購入し、けっこうな頻度で履いているのですが、いまだに現役。ソール交換も何もしていません。そんなに安価な靴でもありませんが、これだけの耐久性があるのならば、コストパフォーマンスとしては十分すぎるといって良いと思います。
雨の日でもへっちゃら。
参考画像(deco-jp.com)
また、耐久性と合わせて注目したいのが、雨用の靴としても優秀であることでしょう。
靴自体は天然皮革で作られているので、素材として雨に強いとは言えませんが、表面にある程度の撥水加工を施してあるので、よっぽどの扱いをしなければ、雨でもへっちゃら。
ソールもラバー製で分厚いので、うっかり水たまりを踏んでしまっても、何も気になりません。
ドクターマーチンのもともとのルーツが「労働者のための靴(ワークブーツ・ワークシューズ)」なので、雨の日にも風の日にも、休まず履けるのが嬉しいですよね[2]。
[2]以前は、全体がラバー素材で作られた、Wellingtonというモデル名のレインブーツ(8ホール)が販売されていたのですが、廃盤になりました。ただ、筆者の経験上、通常の1460や1461のモデルでも、十分にレインシューズ・ブーツとして活用できます。
「ド定番」になるだけのことはある。
参考画像(fsta.tokyo)
これだけのアピールポイントをかかえたドクターマーチン・3ホール。誰もがこぞって履きたがる理由がわかっていただけたのではないでしょうか。
この他にも、「労働者の靴」としての歴史や、その影響を色濃く受けて、人種差別反対の運動家たちの象徴となっていった歴史、さらにそこから、パンクロック・スターやそのファンへと拡がっていったことなど、語り出すと止まらなくなるような歴史が、ドクターマーチンにはたくさん詰まっています。
こういった文化史を受け継ぐという想いで、ドクターマーチンを履く人が多いことも事実です。音楽だけでなく一般に、「サブカル」とか「オタク」といった分類を受ける層に一定の人気があるのも「ド定番」化に一役買っていると言えます。
さて、次ページでは、筆者厳選!オススメコーディネートを見ていきましょう!
Dr.Martens 1461 3EYE GIBSON BLACK