参考画像(wear.jp)
2010年頃からの「スニーカーブーム」を第一線で支え続けた、「クラシックランニングシューズ」。ニューバランスを始めとするランニングシューズタイプのスニーカーは、2010年代が終わりに近づいた2019年になっても、根強い人気を誇っています。ファッションに関心を持った方なら、「一足くらい、ランニングシューズタイプのスニーカーを持っておこうかな」と思われるかもしれません。
しかし、そのような方の中でも特に、「脱オタ」を狙っているオタクの方々へは、声を大にして言いたい。クラシックランニングシューズは、実は結構危険なスニーカーです。今回はその理由を「スニーカーブーム」と「オタクと言えば、なスニーカー」を軸として解説しつつ、「脱オタ」勢が最初に履くべきスニーカーも見ていくことにしましょう。
項目別に読む
「スニーカーブーム」を振り返る
2010年頃に始まった「スニーカーブーム」とそれ以前
2010年代が終わりに近づいても続いている「スニーカーブーム」
ファッション業界を「流行」、とりわけ「足元の流行」という観点から振り返るなら、2010年代は確実に、「スニーカーの10年」だったと言うことができると思います。
2010年ごろから始まったスニーカーブームは、2010年代が終わろうとしている2019年になってもいまだ下火にはなっておらず、いわゆる「セレブブランド」からも続々とスニーカーが発売されています。
そんなセレブブランドの一つ「バレンシアガ(BALENCIAGA)」から「トリプル-S(Triple-S)」という奇抜なデザインのスニーカーが発売されたのが2018年。
参考画像(hypebeast.com)
「超オシャレ!」から「ダサくね?」まで様々な声が飛び交っていましたが、そのように話題になることそれ自体が、スニーカーブームが続いていることを証明しているでしょう。
2010年頃に始まった「ニューバランスブーム」とその本質
そんな「スニーカーブーム」ですが、その発端となったのは「ニューバランスブーム」でした。
アディダスやナイキとともに、知らない人はいないであろう、ニューバランス[1] 。
[1]以下、ニューバランスは「NB」と略します。
もちろんNBにも様々なタイプのスニーカーがありますが、2010年頃からのブームでもっぱら注目を浴びたのは、「クラシックランニングシューズ」と呼ばれるモデル。
参考画像(shop.newbalance.jp)
注目されていたモデル、(NBは各モデルを型番で呼ぶ伝統があるので数字になりますが)576, 574, 996や、1300, 1400 といったモデルは全て、この「クラシックランニングシューズ」タイプのスニーカーでした。
そして、画像を見ても分かる通り、見た目はシンプル。グレーやネイビーといったモノカラー(単色)モデルが多く、飾り気のないデザインを特徴としていました。
参考画像(hibigurasi.exblog.jp)
当時アップル社のCEOだったスティーブ・ジョブズが常に同じ格好をしている、ということが話題になっていましたね。ジョブズのような格好を一つのスタイルとして確立し、「ノーマル (normal, 普通/平凡)」と「ハードコア (hard core, 信念が固い者)」とが合わさった造語「ノームコア (norm-core)」という名前で呼んだ流行もありました。
ただ、NBブームの本質として常に語られていたのは、そのようなシンプルなデザインよりも、むしろ機能性や履き心地。
世界的に有名なデザイナー、ラルフローレンがNBの1300というモデルを履いて、「まるで雲の上を歩いているようだ」と言ったとか言わないとか。
そのようなNBの高い機能性を求めて、人々はNBに殺到していたのです。
ニューバランス以前の「オールスターを履いとけばOK」という風潮
NBブームが始まったのが2010年頃だったのは上で書いた通りですが、それ以前は「スニーカーといえばコンバース」あるいは「スニーカーといえばオールスター」という認識が色濃くありました[2]。
[2]もちろん、スタンスミスなどの流行もありましたが、あくまで「復刻モデルの発売」などに左右されつつの人気でした。その点ずっとスニーカーの象徴であり続けたコンバースのオールスターは「別格」と言うに値するでしょう。
筆者もちょうど大学に入学する以前、高校生の時代でしたが、オールスターは履き潰しては買い直し、という生活を送っていました。
参考画像(converse.co.jp)
こちらも「履いたことがない」という方はほとんどおられないほどの、有名なスニーカーですよね。筆者が以前に書いた「一足目にはこれ!オススメスニーカー15選」にも最初に登場した、現在でも「定番中の定番」と言えるスニーカーです。
そして2010年頃にNBブームを迎えたことで、それ以前ほど「誰もがオールスター」というわけではなくなっていったわけですが、NBのスニーカーと、コンバースのオールスターとの最も大きな違いは、上で書いた機能面での違いだったと言って良いはずです。
というのも、もともとはバスケットシューズとして開発されたオールスターですが、さすがにちょっと古い。街履きをする際の「履き心地」の点では、NBのクラシックランニングシューズには敵いません。
スティーブ・ジョブズらがアイコンとなって始まった「NBブーム」は、あくまでNBのスニーカーに象徴される、履き心地の良いクラシックランニングシューズブームだったと考えられるわけです。
あえて強烈な言い方を選ぶのであれば、「ジョブズも履いてて何となくカッコいいからNB」だったのであって、流行に乗っかった人たちが欲しかったのは、「NBのスニーカー」ではなく「履き心地の良いクラシックランニングシューズ」だった、と言うことになります。
それを証拠に、「流行中のアイテムは被るからイヤ」「NB履いてたけど飽きた」という人たちは、他のブランドのクラシックランニングシューズに注目しましたし、それに対応するかのようにNB以外の各ブランドも、こぞってクラシックランニングシューズを復刻・販売しました。
参考画像(shop.adidas.jp)
三本ラインでお分かりの方も多いでしょう。adidasです。クラシックランニングシューズとして復刻されたZX700というモデルです。こういったモデルを各社が復刻し、NBには及ばないまでも、一定の人気を博していました。
試しにNAVERまとめで「ニューバランス」と検索をかけてみたら、続々と「ニューバランスに飽きた!次のスニーカーは…」みたいな記事がたくさん出てきました。
もちろんそれでも、NBブームは息が長い流行でした。筆者が大学生になりたての頃は、どこもかしこもNBだらけだったものです。ABCマートの前を通っても、お店の前にディスプレイされているスニーカーはNB。大学でもNB。ちょっとウンチクを語りたがりな知人と会ったら、「おっ、996履いてるんだね。センスあるじゃん」みたいな。
ニューバランスブームの後にも続いた、スニーカーブーム
その後、NB以外の各ブランドも合わせて、様々なタイプのスニーカーを発売し、「スニーカーブーム」は現在まで続いています。
その中で、「クラシックランニングシューズ」だけではなく、アディダスのスタンスミスを始めとする「コート系スニーカー」や、ナイキのエア・ジョーダンなどの「バスケットシューズ」など、機能性やデザインを追求・再認識する動きとして、様々なモデルが復刻・発売されています。
ただ、ブームの火付け役だったこともあり、「クラシックランニングシューズ」はその中心に居座り続けています。今でもまだ、NBは探すまでもなくよく見かけますしね。
これは筆者の予想ですが、この「クラシックランニングシューズ」ブームは、おそらく「スニーカーブーム」が続く限り終わらないでしょう。これだけ息の長いスニーカーブームの中で、ずっとランニングシューズが廃れない、ということがそれを証拠づけていると思います。
まとめ:ニューバランスブームから、スニーカーブームへ。
さてここまで、2010年頃にニューバランスのブームとして始まった「スニーカーブーム」とそれ以前、それ以後の流行・動きを見てきました。
このような過去・現在を踏まえつつ、さらに「脱オタ」を狙う「オタク」さんたちがどのようにスニーカーを選んでいるかを確認すると、筆者がなぜ「脱オタ」勢にランニングシューズをオススメしないかがわかってきます。
次のページでは、「なぜ『今はダサい』勢がクラシックランニングシューズを履くべきでないか」を見ていきましょう!!